CADデータ交換標準SFXの動向
(財)日本建設情報総合センター
溝口 直樹 氏
公共事業支援統合情報システム(建設CALS/EC)において、受発注者間で図面データ交換をする際の標準であるSXF(SCADEC data eXchange Format)について、これまでの開発経緯、現状、および今後の動向に関しての解説があった。
1.建設CALS/ECの推進
情報の標準化は、建設CALS/ECを実現するための必須要件であり、データの標準化と相互運用性の確保を通じて、ネットワークを利用した業務プロセスをまたぐ情報の共有・活用を図り、行政の効率化と行政サービスの高付加価値化を実現する。
設計業務の成果品の引渡しなど、公共事業の受発注者間における図面データの交換は、特定のCADソフトに依存しない標準的なファイル形式で行う必要があり、また政府調達協定において、技術基準としてISOなどの国際規格の使用が義務づけられている。そのため1999年3月に「CADデータ交換標準開発コンソーシアム(SCADEC)」が設立され、SXFの開発がスタートした。この活動は2000年10月よりは「建設情報標準化委員会」(事務局:JACIC)の「CADデータ交換標準小委員会」に引き継がれている。
2.SXF開発の経緯
SXFの開発では段階的な開発が実施されており、レベル2(電子納品で用いる2次元図面データの交換を可能にするレベル)が実現している。SXFはISO/STEPに従った国レベルでのSTEP規格の実用化事例として、高い評価を得ている。
3.電子納品への適用
SXFは2002年7月の国土交通省「CAD製図基準(案)」で、公共工事の電子納品に使用する標準として採用されている。SXF対応ソフトの品質評価は「オープンCADフォーマット評議会(OCF)」が行っており、検定合格ソフト名を公開している。2002年11月1月現在、SXF対応予定ベンダーは117社である。
4.SXFのこれから
SFXは今後、より高度なCADデータ交換の実現に向けて、図面管理情報と図形属性情報などの2次元属性情報をサポートし(レベル3)、さらにはプロダクトモデルへ(レベル4)へと発展する計画である。レベル4では道路、河川、橋梁、建築、設備など、分野ごとの建設オブジェクトを定義し、建造物モデルをコンピュータ上に構築して、ライフサイクルでの情報連携を目指す。
レベル4については、まず道路分野を対象として、公共事業のプロセス革新につながる検証シナリオを検討する。3次元地形モデルをベースとして、道路設計、橋梁設計、積算、CGによる景観シミュレーション等との連携について検討する。また特に建築分野については、実装レベルのモデルスキーマとしてIAI・IFCが存在するので、IAIとは協調して開発を進める。今後の課題としては、高い付加価値を生み出すための業務プロセスの変革と、土木と建築のモデル統合が挙げられる。