電子入札の本格化と電子認証

 

日本電子認証株式会社
 認証事業部

河野 哲夫 氏

 

0.日本電子認証株式会社の概要

 電子政府・電子自治体(具体的には電子入札の導入)の進展に対応するとともに、電子認証サービスをとおして、社会全体のCALSECの発展に寄与することを目的して、平成13年に設立、平成14年に電子署名法/特定認証業務の認定取得をするとともにAOSignサービス(電子入札コアシステム対応電子認証サービス)を営業を開始している。

 

1.電子入札の現状と今後(電子入札コアシステム対応認証局について)

 国交省は2001年度から電子入札を開始し、2001年度は100件、2002年度は、2000件の電子入札を行ってきた、2003年度からは、6千万円以上の全直轄工事(約57,000件)を対象に電子入札を実施する。また、2003年度からは、国土交通省独自システムに代え、電子入札コアシステムを使用する。これにより、入札者は、複数の電子入札コアシステム対応の認証局から、ICカードを選ぶことができるようになるとともに、電子入札コアシステムを使用する全ての入札をこれで行える。

 電子入札コアシステムは、電子入札システムのコストダウン、標準化を図るため、JACIC,SCOPEの元で発足した電子入札コアシステム開発コンソーシアムの成果であり、公共発注機関を対象に導入が図られていく予定である。すでに、農林水産省、防衛庁などが導入を予定している。また、コアシステムに対応する電子認証局としては、現在8社が予定されているが、正式には平成15年3月上旬にJACICから発表される予定である。

 

2.電子入札における電子認証の必要性

 電子入札におけるなりすまし、改ざんを防止するため、信頼の置ける第3者が入札者が確かに本人であることを証明するのが、電子認証局である。認証局が本人を特定する方法に電子認証という仕組みを使用する。電子認証は、なりすましだけでなく、データの覗き見、改ざん防止にも利用されており、電子取引を行う上では欠くことのできないインフラである。

 電子認証は、電子署名を行うものだけが使うことのできる秘密鍵と第3者にも提供する公開鍵を組み合わせて認証を行う。秘密鍵で署名されたデータを公開鍵で復元することで、データが改ざんされていないか、確かに本人かということを確認することができる。認証局はこの鍵を電子証明書としてICカードに納めて、提供する。

 

3.電子認証の今後について

 国土交通省の電子入札は、政府と企業間での取引であるが、今後このような電子取引は、民間企業間、企業内、企業と消費者との間に広がっていくことが予想され、これらの全てで電子認証が必要となってくる。また、電子認証は、取引以外の住民基本台帳のような公的な個人認証にもつかわれるようになる。このように様々な場面で電子認証が使われ、複数の方式が交錯することが想定されるがこれに対応するためにブリッジ認証局という仕組みが考えられている。ここを経由することで、1枚の電子証明書で複数の電子認証サービスが受けられるようになる。

 

4.電子入札への対応準備

 電子入札への対応準備としては、インターネットに接続できるパソコンや、ICカードリーダを用意するなどのシステム環境を整備することと、電子入札に使うICカードを購入することが必要である。

 2003年4月からの電子入札コアシステムを利用した国土交通省の電子入札では、電子証明書の名義人は、企業代表者または、委任を受けた支店長などとなっており、本人の確認をした上で発行することになっている。AOSignサービスでは、ICカードの受け取りは、代理人でも受け取れるしくみを提供している。