提言・要望

2012.08.28

新国立競技場等の整備に関する 設計、施工の発注方式の検討について(要望)

新国立競技場等の整備につきましては、新しい日本のシンボルとなるような、全く新しい国立競技場が構想され、また、その整備の方法については、デザイン案の選定から完成までのプロセスをオープンにすることによってみんなで作り上げていくことが目指されています。こうした意義深い今回の事業に対しまして、当会と会員各社は建設業に携わるものとして、可能な限りの貢献を行いたいと考えています。
平成 24 年 7 月 20 日付をもちまして貴センターより公示のありました、「新国立競技場基本構想国際デザイン競技」の募集要項では、基本設計以降の発注の方法については明らかにされておりませんので、下記の通り要望いたします。


                      記



【要望】
新国立競技場等の整備に当たっては、基本設計以降は、設計と施工を一体のチームが担当するいわゆる「デザインビルド方式」など、施工上の技術・ノウハウを設計に早期に反映できる発注方式を検討していただきたい。

【理由等】
新国立競技場のプロジェクトは、きわめて大規模な施設であること、開閉式の屋根など特殊な機械装置が予定されていること、音響性能の確保、省エネ・緑化などの環境配慮に高度な技術を要すること、敷地が神宮外苑という配慮を要する地区にあること、スケジュールがタイトであることなどから、あらゆる知見を動員して対応する必要のある案件です。こうしたプロジェクトにおいては、設計段階の当初から施工・維持管理までを見通して、多岐にわたる条件に配慮しながら造り込むことが不可欠であり、そのためにはそれを可能とする、いわゆる「デザインビルド方式」など、施工上の技術・ノウハウを設計に早期に反映できる発注方式を検討することが必要であると考えます。


【参考】
デザインビルド方式など、施工上の技術・ノウハウを設計に早期に反映できる発注方式は、日本だけでなく、世界の各地で広く行われています。大規模な競技場の事例は次の通りです。

事例1.ロンドンオリンピックスタジアム
ロンドンオリンピックスタジアムは、設計と施工を一括して行う「チーム•スタジアム・コンソーシアム」が担当し、予算内・工期内に完成した。英国の建設産業の中心的な団体である Constructing Excellence のホームページは次のように伝えている。『早い段階から、「チーム」は共同ブランドを構築するために働き、そして、彼らは今「チーム・スタジアム・コンソーシアム」として知られている。この共同作業の体制は、プロジェクトにとって非常に有益であり、また有効である。これは、協力会社が自分自身をチームの一員とみることを可能にし、またより緊密な共同作業を促進するものである。』

事例2.さいたまスーパーアリーナ
さいたまスーパーアリーナは、「ムービングブロック」と呼ばれる建築ブロックを水平移動させるシステム、客席や床の可動システムや天井ブロックの昇降システム等により、アリーナとスタジアムが短時間で変換でき、多様なスポーツ、イベント等が可能な施設となっている。建設にあたって設計・技術提案競技が行われた。

事例3.札幌ドーム
札幌ドームは、全天候型ドームで、スポーツとエンターテインメント等さまざまなイベントが可能である。2001 年からサッカー「コンサドーレ札幌」の、2004 年からは「北海道日本ハムファイターズ」の本拠地になり、サッカー・野球 2 つのプロチームの本拠地となっている。建設にあたって設計技術コンペが行われた。

事例4.神戸ウィングスタジアム
神戸ウィングスタジアムは、2002FIFAW杯の神戸会場である。事業は、神戸市が建設費を負担し、コンペ当選企業が事業計画から設計、施工、運営まで一貫して行う「公設民活方式」という新しい事業手法で行われた。



                                         以上