オンライン現場見学会
「あしたねLIVE 地下60mの巨大トンネルに潜入!」を開催しました
2019年12月19日(木)13:30~16:30
TKPガーデンシティ渋谷 ホール4D
初のオンライン現場見学会
7月17日に、東京書籍株式会社と一般社団法人日本建設業連合会の主催でオンライン現場見学会が開催されました。
日建連は、これまでも小中学生とその保護者を対象とした「けんせつ小町活躍現場見学会」を開催してきました。関係者以外は入ることのできない建設現場で、どのような作業が行われているのか、どのような人がどのような想いで働いているのかを知る機会であり、毎回好評を得ています。
2020年は新型コロナウイルス感染症の影響で、見学会を開催できませんでした。そこで2021年は、初めての試みとしてオンライン配信による現場見学会を開催することになりました。見学場所となったのは、奥村・大豊建設共同企業体(㊕)が施工を担当している千代田幹線整備事業の現場です。
本事業は、東京都千代田区飯田橋付近から港区の芝浦水再生センターまでの全長約8.7㎞に及ぶ千代田幹線を新設し、下水の流れを切り替えることにより、老朽化した飯田橋幹線や中段幹線などを再構築すること、また、大雨が降ると皇居外濠に流れ出ていた下水を千代田幹線に流すことにより、皇居外濠の水質を改善することを目的としています。
施工距離がとても長いだけでなく、地下約60mという深い場所での工事です。そのような工事現場を見ようと、当日は多くの視聴者が参加しました。6月2日に定員500名で申し込みの受付を開始したところ、3週間で満員。その後、定員を950名まで増やしましたが、これも7月上旬には満員になり、本イベントへの期待度の高さがわかりました。
地下60mに潜入
東京書籍株式会社の本多夏夫さんによる進行のもと、西沢武司所長のあいさつで見学会はスタートしました。西沢所長は、千代田幹線整備事業の特殊性について触れながら、「普段、下水道トンネルを見る機会はないので、地下にはこんなトンネルがあるということを知っていただきたい」と話しました。
西沢所長からバトンを受けて事業内容や工法の説明を行うのは、吉田英典副所長と、けんせつ小町工事チーム「千代田のキャッツアイ☆」の一員で、工務担当の南部忍さんです。「ちよちゃん」という愛称をもつシールドマシンを、どのように地下まで運んだのかを紹介する動画などを挟みながら、分かりやすい解説が続きます。画面を通してクイズを出題し、オンラインで回答してもらう「あしたねLIVEクイズ」を行うなど、視聴者が参加できる場づくりにも積極的でした。
「ちよちゃん」の体長は10.4m、体重は322t、先端のカッターヘッドには役割の違う複数のビットが314個もついているそうです。そんな「ちよちゃん」の価格について視聴者から質問があり、「数億円」と返答する吉田副所長。現場に合わせて、ほぼオーダーメイドで製作するので非常に高価なのだとか。また千代田幹線の完成後は、設備等は回収しますが、トンネルの一部として使用するシールドマシンの外殻は地中に残る運命にあるという「ちよちゃん」。南部さんは、「守り神みたいなものです」と表現していましたが、そんな豆知識も次々と披露されました。
分かりやすいリポートで雰囲気を伝える
今回の見学会の目玉は、六階建てビルに相当する大きな防音ハウス内の中央管理室やセグメント置き場、トンネルの入り口、そしてシールドマシンの先端部といったリアルな工事現場の生中継によるリポートです。防音ハウス内の中継は「千代田のキャッツアイ☆」の一員で、機械担当の藤沼花奈さん。入社4年目という藤沼さんは少し緊張気味でしたが、南部さんら先輩の励ましを受けながら、「セグメントを運ぶ天井クレーンは、アフリカ象3頭分の重量まで運べるんですよ」など、子どもにも想像しやすい例えを使って分かりやすく説明しました。直径18m、深さ60mという発進立坑の規模の大きさも十分に伝わってきます。
きれいに整備された女性用更衣室を紹介する一幕もあり、建設業が誰にとっても働きやすい環境づくりに取り組んでいることにも触れていました。現在はコロナ禍で実施できていませんが、「また見学会が開催できるようになったら、ぜひ遊びにきてください」と呼びかける藤沼さんからは、自分たちの仕事について知ってほしいという想いが伝わってきました。
エレベーターで約5分かかるという地下へ移動し、実際に設置されているハニカムセグメントや鋼製セグメントを紹介したり、資材をシールドマシンの先端まで運ぶサーボロコ(牽引車)を動かしながら解説したりと、普段では見られない作業現場を次々と映し出していきます
セグメントを設置する様子も中継
その後、中継は藤沼さんからシードルマシンの先端部で待機していた土木担当の杉村晋之介さんにバトンタッチされました。
杉村さんが現場の作業員に普段注意していることを質問すると、「安全面に対する徹底した注意はもちろんですが、現場に入る際に忘れ物をしないことにも注意している」という答えが返ってきました。それもそのはずです。トンネルの入り口から、約5.5㎞(見学会当時)進んだシードルマシンの先端部までは自転車で30分程度かかるため、勤務時間中はほぼトンネルの中で過ごすそうです。杉村さんは、トンネルの両側面に並ぶ機械類を紹介し、エレクターを稼働させてセグメントを設置する様子も臨場感たっぷりにリポートしました。
中継終了後に西沢所長は、「到達までは長い道のりですが、やればできるという気持ちでがんばりたい」と意気込みを語りました。最後は全員で声を合わせ、建設現場などで広く使われているかけ声「ご安全に!」を視聴者に向かってお届けし、オンライン現場見学会は終了しました。
【関連リンク】
EduTownあしたね キャリア教育・職業調べサイト(東京書籍㈱)
「千代田幹線整備事業」ホームページ
東京都下水道局 公式ホームページ