けんせつ小町

けんせつ小町セミナー

第11回

多様なメンバーの主体性・自己肯定感を高め 職場の生産性を高める対話をしよう!(男性管理職向け)

2021年6月8日(火)13:30~17:00

講師:小倉 広(おぐら ひろし)様

株式会社小倉広事務所 代表取締役

男性管理者向けセミナー開催

2021年6月8日、けんせつ小町が主催するセミナーを開催しました。今回で11回目を迎えたセミナーは、男性の管理者が対象です。

多様化が進む昨今、性別や立場だけでなく、世代や国籍が違う方と一緒に働く時、管理者はどのようにコミュニケーションを図っていけばいいのでしょうか。開催に先立ち、けんせつ小町支援専門部会の畠中部会長は、「共通の目的に向け、一緒に新しい価値を創ることが、次世代のリーダーには求められます。 そのために必要となるリーダーシップやチームのつくり方、メンバーとの対話へのヒントを見つけてほしいです」と、あいさつしました。

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心理的安全性の高い組織とは

講師の小倉広氏は、アドラー心理学を活用したリーダーシップやコミュニケーションの専門家として年間約200回を超える講演・研修を行っています。また総数で100万部以上発行されたという著書の中の1冊は、大ヒットしたドラマの主人公が本を手にするシーンで小道具として使用されるなど、多方面で活躍されています。

本題に入る前に、チャットやリアクションボタンの使い方を確認。小倉氏が「画面上で目に見えるアクションがあると安心します。新しいコミュニケーションの方法ですから、気軽にボタンを押してください」と伝えると、早速拍手などのリアクションボタンが画面に並びました。

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まずは組織や人事におけるコミュニケーションのあり方がどのように変わってきたのかについて解説がありました。古典・近代・現代と大きく分類された時代ごとに見ていくと、重視されたことや、組織づくりに対する考え方が変わってきたことがよく分かります。

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現代では心理的安全性を重視した組織づくりを目標に、各社が改革に取り組んでいます。心理的安全性の高い組織とは、「わかりやすく言えば、誰もが本音で腹を割ることができる組織ですが、上司と部下がガチンコ勝負できるような組織づくりは難しい。個々に自己肯定感がなければ無理です」と小倉氏。仕事ができない、出世できない、それでも自分は素晴らしいと思える自己肯定感の高い人はどの程度いるでしょうか。小倉氏の「自己肯定感が低くて、仕事ができる人はすごく多い。ありのままの自分が嫌いだから頑張るんです」という言葉が胸に刺さります。

「ほめる」と「勇気づける」

本音で話せる場、組織づくりが重要だとしながらも、「これまでも腹を割って話す機会はあった」と小倉氏。それが「飲みにケーションです。これは経営者や管理者にとって好都合でした。なぜなら残業代も払わずに酒の勢いを借りて、部下の本音はさておき、自分の本音を話すことができたから。でも今の時代では無理です」と指摘します。参加者からは、「うちの会社は古典にも至っていない。怪獣や恐竜がたくさんいます」というユニークな感想や、「飲みにケーションが正解だと思ってきた」といった意見が聞かれました。

新しいコミュニケーションの方法については、就業時間中に1対1での対話時間を設ける「1on1 Meeting」など具体例が出されましたが、加えて本音で対話するためには、技法とスキルが必要です。その第一歩として、アドラー心理学を紐解きながら、「ほめる」ではなく「勇気づける」言葉を選ぶために、親子の会話を例にして言葉を探していきました。参加者は思いついた言葉をチャットに投稿していきました。

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アドラー心理学では、ほめることを上から目線と捉えます。例えば子どもへの「偉いね」「いい子だね」という声かけは上から目線で、これは上司と部下の間でも耳にします。「良くやった」「君は優秀だ」といった言葉は部下から上司にかけることはなく、「ほめる」という行為は常に上から下への目線です。一方、「勇気づける」ための言葉は横から目線。感謝や共感、相手を応援する気持ちを伝えるために、「ありがとう」「○○してくれて嬉しい」といった言葉を選びます。お子さんとの接し方を振り返る参加者も多く、小倉氏からは「家族との接し方が変わると、会社でも変わることができます」とアドバイスがありました。

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共感の練習

最後は、聞き手が感じた話し手の気持ちを伝え、話し手の本当の気持ちとすり合わすワークを行いました。

参加者は、「これから一緒に飲みに行きたくなった」「上司になってほしい!」といった感想を抱いたようです。本音で対話することで満たされたのか、参加者の表情はセミナーのスタート時よりも明るく感じられました。

わずか数時間前に知り合った者同士が、対話することで親しみを感じたり、距離が縮まっていく。「新しい時代の関係性は、時間や上下関係、モチベーションではなく、あくまで対等な関係性です。対等な関係性を築けた時、チームが変わり、組織が変わります。短時間でしたが、対話で得られる心理的安全性を感じていただけたのではないでしょうか」と、小倉氏はセミナーを締めくくりました。

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