けんせつ小町

技能者STORY

”つくる”に魅せられた女性たちの物語

日建連では、専門工事を行う協力会社の
けんせつ小町も応援しています。
今回、女性技能者がどのように入職し、現在の仕事と向き合い、
これからのキャリアを描いているのかを取材し、
「“つくる”に魅せられた女性たちの物語」として
皆様にお届けします。
未来のけんせつ小町への力強いメッセージが
たくさん詰まったストーリーとなっているので、
多くの皆さんに読んでいただきたいと思います。

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第2回

「チームワークで仕上げる!!」

幡谷由貴さん(2014年入社)株式会社フジ・カーペット

野本智美さん(2005年入社)株式会社リーベル

石井沙栞さん(2015年入社)株式会社本川内装

牛山桃子さん(2017年入社)株式会社本川内装

内装仕上げ工(ないそうしあげこう)
マンションや病院、オフィスなど建築物の室内において、天井・壁・床・家具等の仕上げのクロスを貼る工程を担当します。室内での作業のため全天候型の作業です。

この仕事を始めるさまざまなきっかけ

事務、美容師など前職は全く違う業種からの転職だという4名だが、共通することは「身体を動かすことが好き」ということだという。
「私たちの会社は内装仕上げの中でもクロスを貼って、最後の仕上げを行う仕事を取り扱っています。私の立場は建設業界では「番頭」と言われている、現場監督と職人さんをつなぐ役割です。打ち合わせをして工程表を作成したり、職人さんの調整をしたりすることがほとんどです。前は事務仕事で建設の世界は未知の世界でした。でも好きなんですよね、建設現場の仕事のほうが。」とこの仕事に入ったきっかけを話してくれたのは入社4年目の幡谷由貴さん。

イメージ現場では番頭として活躍する幡谷由貴さん

一方、石井沙栞さんと牛山桃子さんはもともとお友達同士。最初にこの仕事に就いていた石井さんが牛山さんを誘ったという。「いま私は入社4年目ですが、もともと美容師でした。手先を使う仕事が好きだったので、同級生がいたこの会社に入社しました。楽しく続けられているので、牛山さんも誘ったんです。」

誘われた牛山さんは現在2年目。石井さんがいろいろなアドバイスをしてくれるという。 牛山さんに今の環境を聞くと、「いい環境です!」と笑顔がほころんだ。

イメージ左から石井沙栞さん、牛山桃子さん

野本智美さんは旦那様が同じ内装仕上げ工の職人。手伝っているうちに見習いとなり、ご自身もこの仕事に入ったという。
「この現場のような大きなところでは10名以上の内装仕上げ工事の関係者がいらっしゃいます。マンションなので住戸をひとつづつ仕上げていくのですが、3〜4名のチームで進めることが多いです。主人とは仕事への意識などは共有できているのですが、若い男性もいるので少し気を使います。連携が難しい時もありますね…口で説明できないこともありますし。」
職種に関わらず課題となる世代意識の差や、技術を必要とする仕事ならでは悩みなどはそれぞれに思うところがあるようで、他の3名もそれぞれうなづいている瞬間だった。

イメージご主人の野本貴浩さんと一緒に仕事をする野本智美さん

女性が増えた現場

「10年以上前は本当に女性がいない職場でした。」と野本さんは話す。
朝8時からの朝礼、重量のある荷物の運搬など家庭を持つ女性にとってどのような環境なのだろうか。
「朝6時半には家を出ます。もちろん家事などもありますが、仕事のパートナーが主人なのでいつも一緒です。重い荷物を運ぶこともありますが、まわりの男性が手伝ってくれますし。」と仕事内容について特別なことはないという。
若手の石井さんや牛山さんも「最近はトイレも着替えも女性専用のところがありますし。」と女性が多くなっている現状を語ってくれた。
フジ・カーペットの臼居取締役部長も採用の現状を語ってくれた。
「募集を出して応募してくれるのは男性7:女性3の割合です。重い荷物の運搬や力仕事があったりすることはきちんと伝えます。本当に未経験者もいるので。『それでも、やっていきたい』という女性の応募があるのは、建設業界において女性が働くことを、やっと普通に捉えてくれるようになったのだなと思います。私たちにとってはありがたいことですね。」

イメージフジ・カーペット 臼居取締役部長

変わる職場

多くの職人とかかわりのある幡谷さんはグループで一緒に仕事をすることについて、ある変化があることを教えてくれた。
「番頭になって、実質の作業をしなくなってからはなるべく早く帰るようにしていました。ダラダラと仕事をするのは性に合わないんですよね。すると、夜8時にアラームが鳴るようにする職長さんもあらわれてきました。仕事は仕事と割り切ってやるところは浸透してきていると思います。」
これは幡谷さんが女性だからということではなく、男女関係なく仕事のいいところを学びあおうという姿勢がチーム内に生まれている証拠だろう。

イメージ工程を確認するためにコミュニケーションは欠かせない。

住宅が多い職種という環境ならではの仕事

「私は教える場面も増えたので、こんなふうに言われたらいやだな、と思うことは言わないように気を付けています。『わかりやすかったよ』と言われるとうれしいですね。マンションでは各住戸に住民が引っ越してきて、直接目に触れる部分なので、細かいところも気になってしまいます。」
牛山さんの指導も行っている石井さんの言葉にはリアリティーがあった。
女性ならではの細かい部分への気遣いも発注者から喜ばれることが多いという。
「新築、リフォーム問わず、マンションも一戸建てもこれから住む方や、現在住まわれている方が、女性の職人さんが来ると喜ばれるんですよね。やっぱり住宅については女性の目線がとても大事なので、男性が4~5人で行くよりもうまくいくことが多いです。主婦の方も安心するみたいです。」と多くの発注者の声を聴いている臼居取締役部長は語っていた。

イメージ石井さんは牛山さんに丁寧に指導しながら作業を進める。

現場で働き続けること

「私は女性の番頭ってあまり出会ったことがないんですけれども、他業者の職人さんからも結構珍しがられることが多いですね。目立つからか、珍しいからか「また今度一緒に他の現場もやろうな」と声を掛けられることは多いですね。」と幡谷さんが経験談を披露してくれた。
ご夫婦でこの仕事をしている野本さんは「もちろん仕事なので大変なこともありますが、そこにお住まいになる方が喜んでくれるのは本当にうれしいことです。」と語る。
これからも現場で輝き続ける彼女たちの姿が見えるようだ。

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