ビルの骨組みや命を守る足場を造る
タワークレーンに吊られた巨大な鉄骨が、建築中の高層ビルの突端にゆっくりと降りてくる。真下では数人のとびが、むき出しの鉄骨の上に立ち、降ろす位置を慎重に指示している。ビルの骨組みとなる柱や梁などの鉄骨を組み上げていくのが、とびの仕事だ。 |
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とびが組んだ鉄骨は、あとから別の職人たちがボルトを締めたり、溶接したりして、しっかりと固定していく。また、ビルを建てるときの安全設備となる作業足場を組んでいくのも、とびの仕事である。何もない空間に上へ上へと足場や鉄骨を組んでいく。工事の始めから終わりまで、危険の伴う高い場所で、安全に細心の注意を払いながら作業を進める。とびの仕事は幅が広く、建築現場では頼りになる縁の下の力持ちだ。 |
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図面を見ただけで、完成をイメージできれば一人前。
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この道30年、ベテランとびの小堀さんは、父親がとびの名職人で、高校の頃から父親の仕事を手伝ってきた。
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今は社員を指導することのほうが多くなったが、下積み時代は何でもやったと小堀さん。「最近は、とびの仕事が細分化されてきたけれど、何でもやれて一人前。それに、いろいろできたほうが楽しいからね」。 |
技術や知識を身につければ、仕事の幅がどんどん広がる。
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とびといえば、高所作業。高いところは怖くないのかを聞いてみた。
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「とびは肉体労働と思われがちですが、専門的な知識や技術も必要です。大人になってからのほうが真剣に勉強してますね(笑)。でも、熱心に取り組めばそれだけ知識も技術も身についていく。技量さえあれば、どんどん自分の力で切り拓いていけるので、やりがいのある仕事ですよ」。
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小堀久志さん
有限会社 小堀組(株式会社 北梅組専属) 代表取締役 一級とび技能士、登録とび・土工基幹技能者 小堀組2代目。昭和54年高校を卒業後、他の建設会社で数年修業をしたのち家業を継ぐ。 「とび技能検定試験」の検定委員を長年務め、平成22年度からは主席検定委員。関西建設技能者会の代表幹事を務める。 |