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大石久和(Ohishi Hisakazu) |
国土学アナリスト |
われわれは今回の東日本大震災の16年前に、1995年の阪神・淡路大震災を経験したが、阪神・淡路大震災以前に1千名以上の命を失う災害を経験したのは、30年も前の1959(昭和34)年の伊勢湾台風であった。この30年間は、わが国の高度経済成長期にあたるが、大災害を経験しないですんできた希な時期だったのである。
長い間、われわれはこれを幸運だと考えず当然のように思って過ごしてきたが、これは極めつきの幸運だったかもしれないのである。もちろん関東大震災以来、耐震技術を磨き設計を変え施工を工夫してきたから、世界のどこよりも地震には丈夫な建物や構造物が建っているといって過言ではない。風水害にしても同様に、終戦直後の大洪水を踏まえて対策を強化してきた効果も大きいと考える。
しかし、今回の地震は考え得る既往最大災害に備えても、今後襲い来る災害がそれ以下の規模であるとの保証はないことを示した。つまり、この災害空白期はやはりたまたま大きな地震や豪雨がなかったから生じたと考えるのが正しいのである。
東日本大震災を契機に大災害が頻発する時代が来るかどうかは誰にもわからないが、過去には集中期があったことは今後への備えと覚悟という意味ででも思い出しておきたいのである。表1・表2は資料整理的紹介である。日本年号ごとに集中期をまとめてみた。
表1
表2
表1・表2の時期以外にも、わが国最大級の地震被害のあった災害集中期の元禄・宝永(1688~1703)年間や、江戸大地震や飛越地震に加え、各地に風水害のあった安政(1854~1859)年間など、わが国には何度も大災害集中期はあったのである。今後も大災害の集中期は必ずやってくる。わが国では避難も含めて災害対策には万全を期すことが、いつの時代にも国政の最優先課題なのである。
インフラの整備理念にも非常時対応の考えを欠くわが国だが、リダンダンシー豊かな国土に向け真剣で早急な準備が必要である。 |
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